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中小企業最前線

第10回テーマ「バイオテクノロジー」
あらゆる分野・業界の可能性を無限大に広げる「バイオテクノロジー」

「中小企業最前線」は、産業界で話題のキーワードをテーマとして取り上げ、
各テーマが中小企業に与える影響や考えられるビジネスチャンスなどを交えて説明する連載シリーズ。
今回のテーマは、「バイオテクノロジー」です。

「バイオロジー(生物学)」と「テクノロジー(技術)」を組み合わせた「バイオテクノロジー」は、生物そのものや、
生物がもっている機能を社会に役立てようとする技術です。2030年にその関連市場の規模は約1.6兆ドルになるともいわれ、
新たな産業変革の鍵になることが国内外で期待されています。

医療や食料といった分野でのイメージが強いですが、実は近年、AIなどのデジタル技術とも結びついて技術革新が加速。
工業分野での活用が拡大しているほか、今後は関連産業への波及も期待されています。

応用範囲も広がり、活用コストも下がったバイオテクノロジーの可能性について、
製造業での利用を中心に具体例も交えながら考えていきます。

応用範囲の拡大とコストの低下でバイオテクノロジーが身近に

今、バイオテクノロジーが、世界の産業界から熱い視線を注がれています。

経済協力開発機構(OECD)は、バイオテクノロジーを産業全体に大きく貢献する技術ととらえ、バイオテクノロジーを基盤とした経済活動として「バイオエコノミー」という概念を提唱。その市場規模は、2030年にはOECD加盟国の全GDPの2.7%を占める1.6兆ドルにまで伸びると予測しました。しかも、「工業」分野での活用が、「農業」「健康」分野の活用を上回り、全体の約4割を占めるとしています。

作物の品種改良、食料の発酵、青カビからのペニシリン生成など、人類はこれまでにも生物の機能をさまざまな形で活用してきました。そんななかで近年、バイオテクノロジーの産業利用が改めて脚光を浴びるようになったのは、活用のベースとなる技術の数々が大幅に進化することで応用の幅が広がり、必要なコストも低下したからです。

2000年代半ばに次世代型遺伝子解析装置が開発されると、そこからわずか数年の間に解析費用は1万分の1にまでダウン。ITの進化でAIやビッグデータを活用した機能解明も容易になりました。そして、新しい特性をもつ有機物を「つくる」面でも、2013年に登場したゲノム編集の新技術により遺伝子編集の精度が上がり、コストも従来の100分の1以下になっています。

2013年にオランダの科学者が開発した培養肉によるハンバーガー1個のコストは、研究費込みで約3500万円だったといわれています。一方、日本のあるベンチャー企業が実用化を目指して開発を進める培養肉は100g1万円以下で供給可能。しかもこのプロジェクトの資金はクラウドファンディングで集められており、資金力がなければバイオテクノロジーに挑戦できないとは言えなくなっています。

バイオ燃料、バイオ素材などの研究を行う中小企業も増え、政府も振興に力を入れるなか、バイオテクノロジーはものづくり企業全体にとって注目の技術と言えるでしょう。

多くの企業がバイオテクノロジーとの関わり方を模索

バイオテクノロジーといえば、健康・医療面や食料面での活用がまず頭に浮かぶと思います。しかし実際の応用範囲はかなり広く、産業構造審議会が2016年に出した「バイオテクノロジーが生み出す新たな潮流〔スマートセルインダストリー時代の幕開け〕」の中間報告書では、健康・医療はもちろん、工業、農業、エネルギー・環境など各分野の産業構造に変革をもたらし、地球規模の諸問題を解決する可能性を持つ技術と評価されています。

なかでもものづくり中小企業と関わりが深いのは「工業(ものづくり)分野」「エネルギー分野」の二つでしょう。これらの分野では、重さあたりの粘り強さが鋼鉄の約340倍と言われるクモの糸を人工的に作り出した企業や、食料問題解決の切り札やバイオ燃料の原料として注目を集める「ユーグレナ」の培養に成功した企業などが有名ですが、それ以外にも大小問わず多くの企業が、バイオテクノロジーを自社のビジネスと結びつけています。

例えば、福岡県にある従業員数3人の会社は、油脂の分解を促進し、水質を浄化するバクテリアの培養・製品化に成功。これにより飲食店をはじめ病院や保育園など厨房設備を有する幅広い施設の業務効率改善に貢献しています。

また、衣服のリサイクルを手がけていた企業が、古着を原料にしてバイオエタノールを生成する技術を開発したという例もあります。生産コストが高額になるという課題も数年の試行錯誤によりクリアし、今では染色工場のボイラー燃料として利用されるバイオエタノールを継続的に生産するようになりました。

このほか、さまざまな感染症を媒介する「蚊」の発生を抑制する防虫剤なども、中小企業のアイデアや技術力から誕生。
また、石油の代わりにバイオ材料を使ったプラスチックやゴムは、ものづくりの素材としても大きな注目を集め、中小企業を含む多数の企業がその開発に取り組んでいます。

次のビジネス展開を考える中小企業にとって、バイオテクノロジーは今や身近な選択肢の一つになりました。その背景として、他社のバイオテクノロジーの研究開発をサポートする中小企業も忘れてはいけない存在でしょう。

例えば、青森県の従業員数5人の企業は、近赤外線分光法により成分を破壊せずに高い精度で食品の組成検査を行える独自の装置を開発。また、研究の舞台となるクリーンルームの維持管理に欠かせないツール・サービスを提供する企業や、研究開発に必要な器具をオーダーメイドで製作する企業なども登場しています。

原則として常温、常圧で生産できるため余分なエネルギーを使わず、石油など限りある資源にも頼らないバイオテクノロジーは、世界共通の目標である持続可能な社会の実現という側面からも多くのメリットがあります。そのような分野で自社の技術をいかに活かすことができるか。各社が知恵を絞っている状況です。

急成長が予想される巨大産業にどう向き合うか

各国政府も、幅広いメリットや可能性を持つバイオテクノロジーの発展・普及に力を入れています。EUでは大規模な投資を行い、2030年までに域内輸送燃料の4分の1をバイオ燃料でまかなうという目標を立てました。環境問題や飢餓といった地球規模の課題解決が求められるなか、バイオ系素材・燃料への切り替えはさらに加速していくでしょう。冒頭に書いたOECDの予測どおり、バイオテクノロジーは今後、巨大産業へと成長していくはずです。

日本政府も2016年には、先に挙げた「バイオテクノロジーが生み出す新たな潮流〔スマートセルインダストリー時代の幕開け〕」の中間報告書を発行。特にバイオとデジタル技術を掛け合わせた「スマートセルインダストリー」に注目しています。これは、生物が持つ特定の機能を、最新の技術を活用して人工的に最大限引き出し最適化した生物細胞「スマートセル」を用いた産業群のことです。政府はこの「スマートセル」を活かして各分野の高機能製品を生産し、また新たな産業群を創出することに期待をかけています。

そして、2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」では、日本におけるバイオ産業の新市場形成に向けたデータベース・各種制度の整備の必要性が詳しく語られています。膨大な裾野をもつバイオテクノロジーでは、そこで求められる技術の種類も膨大です。自社の固有技術や基幹技術が、意外な形で求められることも少なくないでしょう。

さらに、先ほど挙げた青森県の企業のように、バイオテクノロジーの研究、産業化に欠かせない機器やサービスの提供を通じて、その進展に貢献するという関わり方もあります。自社のものづくりの力や技術・ノウハウを生かし、各種の検査や測定、細胞の培養、搬送などに必要な機器やサービスをこの分野向けに提供する。バイオテクノロジーの活用が盛んになるにつれ、そうした関連分野でのニーズも大いに高まっていくでしょう。

では、そのバイオテクノロジーとの関わり方の糸口をどこでどのようにして見つけるか。その一助となりうるのが、中小機構が発行する電子ブック「中小機構 Bio200 インキュベーション バイオ系企業リスト」です。このリストでは、全国にある中小機構のインキュベーション施設に入居する企業のうち、バイオ関連事業を手がける約200社を紹介しています。その中には、あなたの企業が持つ独自技術を必要としている企業や、あるいは、あなたの企業の技術をバイオテクノロジーと結びつけるアイデアなどが眠っている可能性があります。

自社の技術をいま一度見直し、異なる技術領域やシーズをもつ企業と連携・協業を実現していけば、可能性はさらに広がっていくはずです。そこには新たな成長への「資源」が息づいているかもしれません。

◆「中小機構 Bio200 インキュベーション バイオ系企業リスト」
https://www.smrj.go.jp/ebook/2019_BIO200/

2030年の世界のバイオエコノミー市場予測グラフ
出展:OECD(2009年)「The Bioeconomy to 2030」より

幅広く事業展開を目指す企業の方は、
ぜひジェグテックをご活用ください。

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