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[J-GoodTech特集記事]
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中小企業最前線

第3回テーマ「AI」
高度な処理能力と分析力で人間をサポートし、新たな価値を生む

「中小企業最前線」は、産業界で話題のキーワードをテーマとして取り上げ、
各テーマが中小企業に与える影響や考えられるビジネスチャンスなどを交えて説明する連載シリーズ。
今回のテーマは、「AI(Artificial Intelligence/人工知能)」です。

AIとは、コンピュータなどの人工システムを使って、
人間が行うような判断、推論、問題解決といった高度な知的活動を行えるようにしたものです。
IoTや産業用ロボットと並び、「第4次産業革命」の中心技術として注目を集めるAI。
このAIの概要と活用法について、ものづくりへの応用可能性や中小企業による活用のヒントも交えながら、
AIの社会実装を目指す国立研究開発法人産業技術総合研究所人工知能研究センター(以下「人工知能研究センター」)
副研究センター長の谷川民生氏にうかがいました。

AIと人間のベストな関係とは──

「労働人口が減少するなか、産業界ではAIへの期待が再び高まっています。ただしAIと人間の得意分野は異なりますから、AIが人間を超える、超えないといった議論はナンセンスです。AIの得意分野を生かし、人間の不得意分野や労働力不足の部分をサポートしてもらいながら、上手に生産性を上げていくというのが、AI活用で目指すべき方向性だと考えています」。

ものづくり、医療、防犯・防災など、幅広い分野のAI研究を行う人工知能研究センター副研究センター長の谷川民生氏は、「今後、人間はAIをどう活用していくべきか」という問いに、まずそう答えてくれました。

「AIの強みは、人が扱いきれない大量のデータの中から最適解を算出したり、特徴点を探し出したり、物事の関連性を見つけたりすることにあります。そこで当センターでは、AIを活用した風力発電の故障予知検知システムの開発や、超音波診断の画像をAIが解析して異常部位を提示する医用画像診断支援システムの開発、人の動作を模倣するロボットの開発などを行っています」。

すでにAIは、社会のさまざまな分野で活躍しています。特に画像認識の分野では、工場で作った製品に不良品がないかチェックする、食事の写真を撮影することでメニューを判別してカロリーを計算する、ベーカリーでトレーに乗ったパンの種類を確認して料金を算出すなどAIの実用化が進展。また、e-コマースの購入履歴をもとに『おすすめ』を表示する機能、コールセンターの自動対応、近年話題を集める自動運転など、私たちの日常にAIは溶け込み始めています。

中小企業においても、AIをマーケティングや販売予測、業務効率化に活用するケースはますます増加。例えば三重県で食堂や屋台などの商業施設を営む従業員数約40人の老舗企業「ゑびや大食堂」では、AIを使って、過去の売上げや天気予報、近隣の宿泊者数などのデータから来客人数などを予測し、仕入れ量や配置スタッフの数を調整することで、売り上げと利益を数倍に伸ばしました。
そして言うまでもなく、製造業のマネジメントにもAIは役立てることができます。

「例えば、生産部門の責任者の方が、発注に対しておおよその納期を答えるシーンを考えてみましょう。今までは注文を受けたら、各工場の稼働状況や機器の空き具合などを確認して、責任者の方が経験をもとに納期を判断していたと思います。そこで例えばIoTなどを使って工場や機器の稼働状況を見える化し、AIで納期を計算してから、その結果に基づき、責任者の方が最終的に判断を行うようにしてみる。そうすれば問い合わせにも素早く回答でき、責任者の方の負担も減るでしょう」。

多品種少量生産や
技術継承にもAIが有効

もちろん、製品の生産という「ものづくり」の中核業務においても、AIの活用は進んでいます。先ほど挙げた不良品のチェックもその一つ。また、近年注目を集める「スマートファクトリー」でも、AIは欠かせません。「スマートファクトリー」では、センサーやIoTを活用して工場にある機器などのデータを取得し、そのデータを分析・活用しながら生産性を上げていきます。AIはその主要分析・判断ツールとして、遠隔監視や異常検知、生産調整などさまざまな役割を担うことを期待されているのです。

「近年はB to Bのものづくりでも、大量生産ではなく多品種少量生産が求められるようになりました。この傾向は今後より顕著になっていくでしょう。生産工程を柔軟に変更しながら、さまざまな製品を製造していくという場面でも、AIが力を発揮するはずです」。

また、製造業の大きな課題となっている人手不足や技術継承にも、AIを役立てることができます。熟練工の職人技をデータ化することによって、工場の24時間無人稼働を実現させ、事業を大きく拡大した──というような企業も存在しています。

「あらゆる企業に通用するような職人技をAIで完全に再現するのは難しいですが、範囲を自社の業務に限れば、一定レベルでの再現は可能。ベテランの技を見える化し、再現できる形にしておけば、若手の育成などにも役立つはずです」。

AIを社会で活用する上では、いくつかの段階があります。まずは、e-コマースの購買履歴分析など、インターネット上に存在するデータをAIで分析する段階。その次の「ものづくり」にAIを活用するという段階では、AIの学習要素や判断材料とするための「正確なデータをしっかり集める」というステップが必要になります。

「AIの性能が、実社会で使えるレベルにまで急速に高まったのは、コンピュータの能力アップに加え、インターネットなどから必要なデータを大量に集められるようになったからです。ただ、インターネット上にある情報はすぐ集められても、工場などで実際に稼働している機械から「ものづくり」のデータを集めるのは、ある程度の手間もかかる。そこで当センターでは検証用として、施設内に稼働データを取るためのものづくりのモデル工場を設置。春には実証実験をスタートさせる予定です」。

経営者はAIにどう向き合うべきか

AIは、今後のビジネスに大きな変化をもたらします。例えば一定のルールに従って作業をこなすタイプの仕事は、今後、AIにとって変わられる可能性が高いでしょう。一方で、人間ならではの柔軟な対応や、クリエイティビティが求められる仕事は残り続けるはずです。また、AI活用が身近になった今、データアナリティクスなどの事業は、多くの企業に取り入れられ成長していく見込みが高い。こうした環境のなか、企業の経営者はどのような意識をもって、ものづくりやマネジメントにAIを生かしていくべきでしょうか。

「AIはあくまで課題解決のためのツールですから、AIの導入ありきになってしまっては本末転倒です。まず自社の経営課題は何かをしっかり検討し、その上でAIをどう使っていくかを考えるべきでしょう。また、ディープラーニングなどを利用する場合、AIは仕組みの特性上、『なぜその答えになったのか』を説明できません。そこでAIの判断は、自分とは別の視点をもつ、合理的で頼りになるセカンドオピニオンと考え、重要な決定の判断はあくまで人間が行い、その責任を負うという姿勢が大切になるでしょう」。

近年は高度なAIソフトを無料公開するIT企業も登場しており、中小企業でもスタッフがノウハウを身につければ、AIを以前より容易に活用できるようになりました。人材がいない場合、それなりの費用はかかりますが、システム開発を支援するAIベンダーの力を借りる方法もあります。導入費用については国や地方自治体が各種補助金の交付を行っており、中小企業の生産性向上を目標とした「IT導入補助金」が継続される見通しが立っています。

「AIの活用では、例えば高齢者の医療データ、行動データ、健康データなどを統合的に活用する見守りサービスなどが期待されています。これまで業種・企業ごとに分かれた形で蓄積されていたデータに横串をさす形で活用することで、分析の価値を高め、新しい発見につなげるわけです」。

そうした横断的な連携を実現するため、現在、インターネット上では世界のさまざまな企業が、そこで独自の技術やデータをもった連携候補を探しているといいます。

「当センターも社会の課題を解決する新たなサービスを生み出すという目標に向け、民間企業との共同研究も行っています。自社の強みを数値や実例で見える化し、技術力の証明となるデータも差し支えない範囲で表に出しながら積極的にアピールをしていけば、世界の中小企業同士がダイレクトにつながり、オリジナルの新しい製品・サービスを生み出していくチャンスをつかむことができるでしょう」。

◆谷川 民生 氏プロフィール
国立研究開発法人 産業技術総合研究所人工知能研究センター 副研究センター長。主な研究テーマは「人工知能」「農業ロボット」「ユビキタスロボティクス」など。

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今回の「中小企業最前線」はいかがでしたでしょうか。
本シリーズでは、今後もさまざまな業界を取り巻く話題のキーワードを切り口に、
ビジネスのヒントとなる情報をみなさまに提供していきます。

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