針加工の技術力で世界シェア20% 九州オルガン針株式会社の魅力

九州オルガン針株式会社

九州オルガン針株式会社は、2015年に熊本県のリーディングカンパニー育成企業に認定された熊本県を代表するものづくり企業です。1970年に家庭用ミシン針製造のメーカーとして創業し、現在はミシン針から医療用の精密部品、さらには考古学で使用する遺物型取器など針に関わる多岐に渡る製品を製造しています。今回は、代表取締役社長である髙沢昌則さん、執行役員管理本部部長の江藤怜さん、管理本部営業部営業課長の池松宗仁さんにお話を伺いながら、九州オルガン針株式会社の知られざる魅力に迫ります。

右から代表取締役社長 髙沢昌則氏,執行役員管理本部部長 江藤怜氏,管理本部営業部営業課長 池松宗仁氏

右から代表取締役社長 髙沢昌則氏
執行役員管理本部部長 江藤怜氏
管理本部営業部営業課長 池松宗仁氏

創業時は蓄音機針製造。洋服需要増加で、国内初のミシン針製造に成功

御社の歴史について教えてください

当社は、家庭用ミシン針製造のメーカーである「オルガン針株式会社」のグループ会社として、1970年に熊本で創業しました。本社にあたる「オルガン針株式会社」は、1920年に増島製針所として東京で創業し、創業当時は蓄音機の針を製造していました。その後、戦争疎開により現在の長野県上田市に拠点を移しています。時代の移り変わりとともに、和服から洋服へ衣服の欧米化が進み、洋服の需要にともないミシンの需要も増加しました。しかし、当時のミシンの針や機械は全て海外から輸入されたものでした。「なんとかミシン針を国産化できないか」という思いから、当時の社長自身でミシン針の製造を機械化し、国内で始めてミシン針の製造に成功しました。

ピアノより庶民的なオルガン 、ミシンを踏む姿とリズムが社名とシンボルマークに

御社名は一度聞いたら忘れられない特徴的な社名ですが、社名の誕生秘話などがあれば教えてください

“オルガンを弾く婦人”のマークでミシン針が発売されたのは1939年(昭和14年)のことでした。それまで音楽に関係のある蓄音機針を製造販売していたため、シンボルマークを決めるにあたってまず考えられたのは「ピアノ」や「オルガン」といった西洋の楽器でした。そして、ピアノよりも庶民的で当時多くの方が幼い頃から親しんでいたことから、オルガンが選ばれました。また、ミシンを踏む姿やリズムがオルガンを弾く姿、リズムに相通ずるものがあるということも大きな理由の一つでした。

その後、1963年(昭和38年)に、社名もオルガン針株式会社と変え、オルガンマークは名実共に当社製品の高品質を表すシンボルとして国内はもとより広く全世界の人たちに愛され親しまれています。

九州オルガン針株式会社 

九州オルガン針株式会社

製造機械の約8割を自社製造し、少量多品種の針は職人の手作業で製作

御社の特長や他の企業にはない技術力について教えてください

当社の強みは、「針」製造における技術力です。「針」を製造するにあたり、製造機械の約8割は自社で開発しており、少量多品種の針については機械ではなく手作業で製造しています。また、検品する際はその道を極めた職人が一本一本の光の反射などを利用し不良品がないかを確認しています。

針製造の様子

針製造の様子

「針」といっても太さや種類は様々で、ミシン針だけでも約1万種類あります。ミシン針は、生地を傷めないために実は先端が丸くなっている物もあります。生地を傷めず、かつ針を通すために、絶妙な加減で先端に丸みを帯びさせるノウハウは、当社にしかない技術といえます。当社のミシン針は、オルガンブランドとして長きにわたり信頼され、国内トップシェアを誇り、海外からも高い評価を得ています。当社の技術力を活かした製品は、ミシン針だけでなく、医療用の精密部品、さらには考古学で使用する遺物型取器など、多岐に渡ります。

針製造の様子

針製造の様子

コストと品質のバランスをとりつつ、ミシン針生産は外注せず自社グループで完結

御社は、早くからベトナムに進出しているとのことですが、現在の生産体制について教えて下さい

当社は早くから海外での生産の必要性に着目しており、22年前にベトナムに進出しております。今でこそベトナムは日本企業の進出拠点として注目されているエリアですが、当時は今ほど注目されていませんでした。進出当時は、非常に苦労したことを今でも覚えています。しかし、早くから進出したことで、当社はミシン針の生産においてコスト競争力を有し、今でも高い世界シェアを維持していることにつながっていると思っています。なお、ミシン針の生産においては外注を一切実施していません。全て自社グループで完結しており、主に前行程をベトナムで、後工程を日本で実施しています。ベトナム工場でのコスト競争力を活かし、技術力を要する工程は日本で実施するなど、コストと品質のバランスをとりながら生産することを心がけています。

製造の様子

製造の様子

技術力とコスト競争力を強みとして、海外や医療精密分野での販路開拓を

御社の海外マーケットシェアと今後の展開について教えてください

当社の売り上げのうち、約8割がミシン針、残りの約2割が医療・精密部品を占めます。ミシン針の世界市場規模は280億円といわれており、そのうち当社は約2割を占めています。ドイツ企業が同じく約2割のシェアを占めているため、当社とドイツ企業の2社で世界市場の約半分を占めています。当社のミシン針の約99%は海外向けに作られており、主に中国、次いでミャンマーやインドで販売しています。

精密部品部門の製品については、約7.5割が国内向け、残りが主にアメリカ向けとなっております。今後、この精密部品部門の売り上げを全体の約半分に上げることが目標です。そのためには、医療精密部品における新たな販路の開拓や、海外展開を積極的に進めていく必要があると感じていますが、販路開拓は当社の一番の課題でもあります。

課題解決に向けてジェグテックを活用することはいかがでしょうか?

ジェグテックでは大手企業や海外企業とのマッチングや異業種間連携がウェブサイト上で行えると伺い、大変興味を持っています。当社は、ミシン針の製造においては確固たる技術を確立し、針の加工に関しては誰にも負けないという自負があります。しかし、この当社の技術を他の業界に転用していくためには、今まで通りの営業を実施しているだけでは達成できません。ジェグテックを通じて、医療精密分野における新しい製品の共同開発を他の登録企業に呼びかけたり、海外マーケットに強い商社と連携できる機会を自ら作ることや、医療精密分野以外の新しい分野においても、ジェグテックをきっかけに事業拡大を図っていければと考えています。

また、当社は針を作る技術力のみならず、海外での生産においても長年の知見があり、一定のコスト競争力を有しています。この技術力とコスト競争力の双方の強みをジェグテックでは積極的にPRしていきたいです。

編集後記

九州オルガン針株式会社は、創業当時から「針」製造において高い技術力を誇り、オルガン針株式会社のグループ会社として、成長を続けてきた熊本県の優良企業です。「ミシン針」の世界トップシェアを占め、医療精密分野においても製品開発を進めてこられた企業ですが、やはり課題は販路開拓でした。今後ジェグテックを積極的に活用していただき、事業連携や共同開発など、他の登録企業と連携し、新しい分野における事業の拡大を促進できるようジェグテックでも応援していきたいです。