中小企業でのIoTの活かし方を考える -1-

IoTとは?

IoTという言葉を新聞などで見ない日はなくなってきた。

IoTとは、「Internet of Things」の略であり、日本語に訳すと「モノのインターネット」となるが、わかりにくい。モノはセンサーの付いた機器のことで、こうしたセンサー付き機器からデータを収集してクラウド上で処理し、可視化し、分析、活用しようという仕組みである。

センサー自体の機能も向上し、またコストも下がってきており、センサー付きのモノを作ったり、センサーを後から設置したりすることが、容易になってきた。 また通信速度の進化、クラウドシステムの進化によるメモリ容量の増加など各種インフラも整ってきており、官民挙げての活動も相まって、大きな社会変化が起きようとしている。

2020年にはインターネットに繋がるモノ(IoTデバイス)の数は約530億個に上ると推定されており、世界中で様々なモノからデータが取得されることで、世界のデータ量は2年ごとに倍増すると言われている。まだ実感の湧いていない方も多いだろうが、IoTはエリア·業種に関わらず全ての方に関係する話題なのである。

また、日本国外を見ても、ドイツの「インダストリー4.0」やアメリカの「インダストリアルインターネット」を始め、各国がIoTの活用を積極的に進めている。厳しさを増しているグローバル競争を勝ち抜いていくためにもIoTをビジネスに活かすことを考えていく必要がある。

そこでこの特集では、数回に分けて、中小企業ではどのようにIoTの活用を考えていけばよいのか取り上げていく。

中小企業がどうIoTを活用していったら良いのか?

IoTといっても部品·製品単位から工場、ひいては世界規模のものまで多種多様であるが、製造業をはじめ、各産業の在り方やサービス価値創造の仕方など従来とは大きく変わってくる。モノとインターネットが繋がることでこれまで得られなかった多くの情報が集められ、それらを分析·解析し、情報に新たな価値を見出すことで新しいビジネスを生み出すことができる。

ただし、IoTの活用自体を目的とするのではなく、現場の声や課題等を出発点にIoTを手段としたビジネスの目的を明確にする必要がある。


IoTには大きく2つの使い方がある

1. 自社の生産性向上や業務効率化への活用
製造ラインにきめ細かくセンサーを付けて、生産ラインの稼働状況などを把握。そして、最も効率的な稼働方法を分析し、生産ラインを効率化する。あるいは工場の製造データを集めれば、仕掛品の流れを瞬時に把握し、生産進捗を追いかける必要などもなくすことができる。

2. 事業拡大や売り上げ拡大への活用
小売業に来店する顧客の多くはセンサーを搭載しているスマートフォンを持っているので、オリジナルのアプリケーションの開発により、IoTを活用した顧客とのつながりができあがる。またサプライチェーンに関わる高度な可視化も可能にり、運輸·物流関連でも車両や輸送状況の高度な管理や遠隔制御などが可能となる。

どのような企業にもIoTを使って自らのビジネスを革新できる可能性がある。特徴的な技術やアイデアを有していれば、新しいグローバルなシステムの中に存在感を持って入り込むことができる。もちろんそこに大企業·中小企業の垣根は存在しない。

例えば、射出成形用金型にセンサーを取り付け、温度·圧力·振動等の情報を収集し、製品の良否や金型の劣化度合いを推定するなど、身近なものづくりにIoTを取り入れようとする中小企業も現れている。

ほかにも、従来、経験と勘に頼っていた技術をセンサーでデータ収集し形式知化することで、老齢化による技術伝承の問題を解決できる可能性がある。ただし、そこへ飛び出していくためには広く情報収集するとともに発信していかなければならない。大きなプラットフォームを生み出すことやインフラ整備する資本はなくても、ユニークなアイデアを元にそのインフラやプラットフォームを使ってサービスを提供することは可能である。決して大企業しかできないサービスではなく、世の中に氾濫する情報から有益な情報を生み出すことはアイデア次第で可能である。

最近では、ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)が、経済産業局の協力を得て、「第1回 中堅·中小製造業向け IoT ツール募集イベント」の選定結果を発表した(2016年10月4日)。そこには必ずしも中小企業で活用できるものではないものの、106件の様々なビジネスシーンで活用できるIoTに関するツールが紹介されている。IoTについては、まずは、自社とは関係ない話題だと捉えず、関心を持って情報を収集し、アイデアを考えることが重要である。